#1 Ahmed Abdu

生産地 ハラズ地域ジャルマ村
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精製 バレルエイジド (タンクでジャスミンと共に4日間発酵)
標高 2,100m
品種 ジャディ、ダワイリ(古代ティピカ/イエメニーア)
クロップ年 22/23クロップ
生産者 Ahmed Abdoさん
乾燥 天日乾燥、アフリカンベッド
サイズ 15up
栽培・農薬の使用 栽培期間中、農薬化学肥料不使用

INFORMATION

  • 梱包:10kgカートン+バキュームパック
  • フレーバーノート:raisin,grape,choco,lemon,floral,bright,long-after,smooth-mouth-feel

AREA NOTE

ハラズはイエメン北西の高地に位置します。標高は最高2,500mと高く、寒冷な地域です。 一般的にハラズコーヒーは、レーズン、フルーティーな酸味、滑らかなボディ、チョコレートのようなアフターフレーバーが特長。ハラズ周辺は、豊かな火山性土壌であることや山岳地帯ならではの気候から、イエメンの中でも良質なコーヒーが取れる産地として知られ、生産量もイエメンの中では一番多いエリアです。また、ハラズでは、小規模農家が山の急斜面を利用した段々畑でコーヒー栽培を行っていますが、標高が高く温度がとても低いく健康的にコーヒーが育つため、シェードツリーは基本的に使用していません。そこではアプリコットやマンゴー、アーモンド、ぶどうなど、コーヒー以外の農作物も育てています。何世紀にも渡ってコーヒー生産を受け継いできた農家さんが多く、彼らのコーヒーの精製、加工についての技術は他の国のレベルをはるかに超えています。


BUYER COMMENTS

先祖代々受け継がれてきた自身の農地を耕し、寒暖差の激しい環境でも力強く育つわが子のようなコーヒーに深い愛情を持つAhmed Abdoさん(以下Ahmedさん)。農園のある山から下り、街に出ることに全く興味が無く、常にコーヒーを触っているような根っからの農家気質をもつ生産者さんです。60代と高齢な方ではありますが、品質を上げるためならば、今までの伝統から少し外れた加工方法にも取り組んでゆける、柔軟な思考の持ち主であり、今回は自身の農園で育てているジャスミンをチェリーと一緒に発酵させるバレルエイジドにチャレンジしています。その味わいは素晴らしく、バレルエイジドらしいワイニーフレーバーに加え、柑橘系の明るい酸味が際立ちます。積み上げてきた技術があるからこそできる、Ahmedさんの新しい挑戦を日本のロースターさんに広く知っていただきたく、このロットを紹介いたします。



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STORY

細やかな精製仕事

今回のご紹介するような、他の生産国では絶対に味わえない香味をイエメンのナノロットが生み出す要因は、土壌や標高、昼夜の寒暖差はもちろんですが、乾燥方法にもヒントが隠されています。アフリカンベッドに収穫後のチェリーを広げ、撹拌を行いながら3~4週間程度ゆっくりと時間をかけて乾燥させる点では、他国と変わりありません。しかしながら撹拌の頻度が異なります。通常よくある方法として、水分値に応じて乾燥の頻度や、乾燥させるチェリーの厚みを変化させ、乾燥後期には撹拌頻度は半日に一度程度まで減っていきます。一方でイエメンでは、棚に広げてから終了のタイミングまで、2時間毎に撹拌は休むことなく行われ続けます。(夜間は夜露を防ぐため、チェリーにはシートがかけられます)。この方法は通常のプロセスと比較すると圧倒的に労力が必要で、乾燥に携わる農家さんは一日乾燥棚につきっきりになってしまいますが、その効果は絶大で、チェリーの乾燥は限りなくゆっくりと均一に進んでいきます。

Ahmedさんは上記の乾燥に加えて、ジャスミンを加えたバレルエイジド ナチュラルに取り組みました。まず手摘みで収穫された完熟したチェリーを水洗い後、ジャスミンの花と共にプラスチックタンクに入れ、約4日間発酵させます。バレルの中は発酵が進むにつれ二酸化炭素が発生し、少しづつ酸素は押し出され、通常のダブルファーメンテーションとは異なる環境下で発酵が進んでいきます。この精製により、芳醇でワイニーな香りが強調され、本来のまろやかな乳酸系の甘さ、チョコレート感、ベルガモットのような柑橘感と相まって、何層にも重なる複雑な味わいが作り出されるのです。


イエメニーア

15世紀にはコーヒーの栽培をしていた記録があるイエメンですが、その歴史のあるイエメンコーヒーの遺伝的多様性についてはこれまで研究されてきませんでした。2020年にQima Coffee社が中心となったアラビカ種の遺伝的多様性についての共同研究が行われ、その結果今まで知られていなかったイエメン特有の進化を遂げたであろう母体品種として、「イエメニーア」が発見されたと発表されたのです。研究の概要は簡単に言うと、エチオピア系統の品種を72種・世界中で栽培されている品種を20種・イエメンの主要栽培地域の品種を45種の計137種のDNAを分析しました。その結果、それぞれが遺伝的に異なる5つの集団に分かれたのです。

・エチオピア単一品種群
・SL-17品種群
・Yemen SL-34品種群
・Yemen Typica-Bourbon品種群
・New-Yemen品種群

「New-Yemen」という品種群が今まで発見されていなかった特有の遺伝子をもつもので、イエメニーアと命名されました。 イエメンの農家さん達は、この発表がされて当時騒ぎになったようです。それもそのはず、今まで先祖代々受け継いできた由緒あるコーヒーの木はそれぞれ木の形や葉の形から、ジャディ・ダワイリ・ウダイニ・トゥファヒ等と名前がついているのに、イエメニアという新品種が見つかったと発表されたのですから。 この研究は品種群が発見されたところで止まっているため、イエメンでもともと名前のついている品種がこの5つの品種群のどこに属するのかまで特定されていな状況です。そのため、海ノ向こうコーヒーとしては昔から呼ばれている名前(古代ティピカ)とイエメニーアという名前を併記しています。 2050年問題として物議をかもし、気候変動にも耐えうる品種の開発が急がれている昨今。かつてモカ港から世界中に伝播していったコーヒーが数百年の時を経て、厳しい環境を耐え抜き独自の耐性を獲得したイエメンコーヒーが、新品種発見という話題性のある内容の裏で、この研究が進むことによって、2050年問題の解決の糸口になるのかもと思うと胸の熱くなる想いがありますね。


モカオリジンズとイエメンの内情

品質の高いコーヒーを作り、より多くの人にイエメンのコーヒーを届けたいと活動しているのが、アル・モガヘッド・タレックさんです。 イエメン出身のタレックさんは、2014年に日本の大学に留学されました。ちょうどその頃から、母国イエメンでは内戦が激化しました。 イエメンに住む家族と電話する度に空爆の音が鳴り響いていたそうです。母国のために何ができるのか、タレックさんは考えました。 「コーヒーが、内戦で疲弊したイエメンの経済を救うかもしれない。そして、コーヒー栽培できちんと生活ができるようになれば、カートの乱用も減るはず。」 そんな思いから、大学卒業後に日本人とともに「モカオリジンズ社」を立ち上げました。社名のモカオリジンズには、「イエメンのモカ港がコーヒー輸出の起源である」という意味が込められています。 農家さんと一緒にコーヒー作りに取り組むのは、現地に住むタレックさんの兄、コサイさん。タレックさん兄弟は、「市場価値の高いスペシャルティコーヒーを作り、高値で売ることができれば、農家に多くの利益を還元できる」と考えました。

高値で売れるコーヒーを作るためには、徹底した品質管理が必要になります。特に重要なのが収穫の際、しっかりと熟したコーヒーチェリーだけを選んで収穫することです。それは、農家さんにとってはとても手間のかかることなのですが、コサイさんは、農家さんに向けて何度も発信し、呼びかけ続けました。今では多くの農家さんがコーヒーチェリーの収穫のタイミングを守るようになり、品質の揃ったコーヒーが作れるようになりました。 このような農家さんたちのたゆまぬ努力が、品質の高いおいしいコーヒーを作り出しているのです。

「助けは、求めていないんです。」とタレックさんは言います。 おいしくて品質の高いイエメンのコーヒーが評価され、多くの人に楽しんでもらうことが、イエメンの国の経済や戦下を生きる人々のためになる。 イエメンに平和が訪れること、そしてコーヒーを通して多くの方にイエメンを身近に感じていただけることを祈りながら、希少なコーヒー豆を皆さんにお届けします。

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