製茶房嘉栄 林さんのこと
京都府南部に位置する和束町は、古くからつづくお茶の産地。山の斜面は茶畑の緑に覆われ、水もち、水はけの良い土壌、そして昼夜の大きな寒暖の差が生み出す霧によって、香り高いお茶が育まれています。
林さんは、この町で生まれ育ちました。野山で遊ぶのが大好きだった彼ですが、中学生のとき、生死に関わる大病を患い、入院生活がつづきました。二年遅れで高校を卒業し、茶農家になることを決意。それから二十年近く、お茶をつくり育てています。
「自然のなかで、生き物に囲まれて、お茶の樹を育てたい、そうしてできたお茶を飲んでもらいたいと思ったんです」病を生きのび、動く体があること、生きていることの有難さをつよく感じたことが、彼のお茶づくりの原点になっています。