アフリカのメッカ、ハラー王国
エチオピアを代表するコーヒーの生産地、ハラー。かつてこの地に成立していたイスラム王国「ハラー首長国」の中心都市でもありました。この都市の旧市街は、豊かな宗教文化と長い歴史を今に伝えており、「アフリカのメッカ」と称されるほど。特に16世紀から19世紀前半にかけては、イスラム世界において「第4の聖地」と見なされていたとされます。
ジュゴルと呼ばれる堅固な城壁に囲まれた旧市街には、現在も多数のモスクや聖廟、伝統家屋が密集しており、往時の都市構造や生活文化を色濃く残しています。ハラーは、こうした歴史的背景から、イスラム文化と紅海交易の重要な拠点として栄え、学問・宗教・商業の中心地として発展してきました。その文化的・歴史的価値が評価され、2006年には「歴史的城塞都市ハラール・ジュゴル」としてユネスコ世界遺産に登録されました。今日でも、ハラーはその特異な文化遺産とイスラム建築の魅力により、世界中の研究者や旅行者を惹きつける場所となっています。