ケニアコーヒーの歩み、
植民地時代から自立の時代へ
ケニアで最初にコーヒーが植えられたのは、19世紀末〜20世紀初頭のこと。当時、ケニアはイギリスの植民地でした。イギリス人入植者たちは、近隣のエチオピアやタンザニアからアラビカ種の苗を持ち込み、商業的な栽培を開始します。
ところが、そのコーヒー産業の恩恵を受けたのは、現地ケニアの人々ではありませんでした。広大な農園は白人入植者によって支配され、ケニア人は労働者として酷使される立場に置かれていたのです。さらに、ケニア人によるコーヒー栽培や販売は、法律で厳しく制限されていたといいます。
1963年、ケニアは長い闘争の末にイギリスから独立を果たします。この転換点を境に、コーヒー産業はケニアの人びとの手に取り戻されていきました。政府は小規模農家による栽培を奨励し、協同組合を通じた公正な取引体制が整備されていきます。現在では、ケニアのコーヒー生産者の約7割が、1ヘクタール未満の土地で栽培する小規模農家さんです。こうした農家さんが所属しているウォッシングステーション(精製所)が、高品質なケニアコーヒーの基盤となっているのです。