ウエウエテナンゴとカニクラ
ウエウエテナンゴは、世界的にも知られるコーヒー生産地で、標高1,500〜2,000m、豊かな火山性土壌、昼夜の寒暖差に恵まれ、コーヒー栽培に理想的な条件を備えています。
コーヒーの伝播については、メキシコ・チアパス州の農業移民が持ち込んだ説と、グアテマラ南部アンティグアから伝わった説があります。19〜20世紀は大規模農園が中心でしたが、1950〜70年代に道路が整備され小規模農家も参入。2000年代以降は、高標高地の複雑な風味が評価され、COE入賞ロットが続出し、世界中のバイヤーが注目する産地となりました。
複雑な風味を作り出す要因のひとつが、「カニクラ」です。「カニクラ」とはスペイン語で「一年で最も暑い時期」を意味し、メキシコやグアテマラでは「乾いた熱風」を指します。特にウエウエテナンゴでは、チアパス州から乾燥した高温の風が山の谷間を抜けて吹き込み、病害リスクを下げ、チェリーの均一な成熟や天日乾燥を促進。湿気による発酵臭やカビ臭のリスク軽減、農薬に頼らない栽培環境づくりにもつながっています。さらに保水性を高めるため、シェードツリーや有機物のマルチを活用する農園も多く、このユニークな気候がウエウエテナンゴのコーヒー品質を支えています。