森の国
メコン川の中流域に位置する、東南アジア唯一の内陸国・ラオス。ルアンパバーンは、その北部地域にあります。観光地としても有名な街の中心部から、車で30分も走らせると、山々を望む農村部の景色が広がります。
そんなルアンパバーンの山奥には、伝統的な焼畑農法を営む山岳少数民族の人たちがいます。毎朝早くに山へ出かけ、森を拓いた畑で陸稲や野菜を育て、休閑地でキノコや薬草を採り、森の中で狩りをし、草木で布を美しい色に染める。子どもたちは、木を削って作ったコマや手作りのボールで遊ぶ。そんな人々にとって、森は生活そのものでした。
しかしながら、人口増加や貨幣経済の流入により、焼畑はもはや持続可能な農法ではなくなりつつあります。焼畑のサイクルは加速し、森林はゴムやトウモロコシのプランテーションに置き換わり、土が痩せてきています。これまでの、森とともにあった暮らしが変わりつつあるのです。