貴重なベトナムアラビカ
ベトナムと聞くと、ロブスタのコーヒーをたくさんつくっている国というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。ベトナムは世界最大のロブスタ種のコーヒーの生産国で、その生産量の95%ほどがロブスタ種です。1990年代にエスプレッソ用やインスタントコーヒー用として、ロブスタの需要が拡大したのを機に、ロブスタ種の生産量と輸出量が拡大していきました。
今でこそロブスタの印象が強いベトナムですが、実は、最初に持ち込まれたのはアラビカ種だったと言います。19世紀後半フランスの植民地下において、フランス人によって持ち込まれたのがはじまりです。気候や土壌に恵まれていたダクラク省やラムドン省といった中部高原地方を中心に栽培が広がっていきました。標高も最高で1,500mほどと、アラビカ種の栽培に適している地域でした。その後、戦争でコーヒー生産は一時衰退。国の経済政策によって、病害虫に強いロブスタ種の生産が急増する中、ラムドン省では継続してアラビカ種の生産が続けられてきました。