発酵の奥深さ。コーヒー農家さんの改善に次ぐ改善とは? - コロンビア Kaizenナチュラル - 【海ノ向こう編集室】


農家さん


こんにちは、品質管理&デリバリー担当の岩﨑です。いよいよ日が短くなり、長袖で過ごすのも心地よい季節になってきましたね。仕事柄、年中コーヒーを飲んでいますが、特にこのシーズンが美味しく感じられます。個人的なブームはナチュラルで、特有の甘い香りのコーヒーを飲むのが毎朝のルーティーンになっています。

さて、海ノ向こうコーヒーでは多くのナチュラルを取りそろえていますが、最近手が伸びてしまうのは「コロンビア Kaizenナチュラル」。ワインのような芳醇な香りやスルスルと飲めるほどよいボディ感が特徴です。




人気のナチュラル。なぜフルーティで独特な香りがあるのでしょうか?


農家さん

通常のナチュラルは、収穫後にアフリカンベットと呼ばれる乾燥棚やマット、パティオなどの上に広げ、乾燥度合いが均一になるよう頻繁に撹拌しながら自然乾燥させます。実は乾燥中にコーヒーチェリーの内部では目には見えない微生物が有機物を食べ、別の成分に変化させます。つまり、「発酵」が行われるのです。※

成分の変化についてすべてが解明されているわけではありません。しかし、収穫したてのチェリーを無理やりパルピングして焙煎するとほとんど味がしないことからも、発酵によって様々な香気成分が生み出されていることが分かります。


※ここでの発酵とは、微生物が生きるのに必要なエネルギーを確保するために、コーヒーの成分を酵素で分解し、取り込む代謝活動のことです。



発酵と腐敗の違いはあいまい?

農家さん

微生物による成分の変化には、発酵以外にもう一つの呼び方があります。それは「腐敗」です。では、発酵と腐敗の違いは何か?その区別はあいまいで人にとって有益なものは発酵、そうでないものは腐敗となります。つまり、紙一重の違いしかないのです。

ナチュラルでは、精製する時にうまくコントロールしなければ発酵が進み過ぎてしまい、鋭い酸やオフフレーバーが出てしまいます。ナチュラルを安定的に、かつ高品質な状態で精製するためには、温度や水分値、チェリーのPhなど、とにかく計測につぐ計測で徹底的に管理する必要があります。ナチュラルは最もアナログな精製方法なので経験に基づく勘が大切な一方で、緻密な観察や測定が一番必要……かもしれませんね。



農家さんの生産性向上を目指す「Kaizenナチュラル」プログラム


農家さん

そんなナチュラルの中でも、「コロンビア Kaizenナチュラル」は農家さんの丁寧かつ緻密な努力の上に生まれました。誕生のきっかけは今から5年ほど前。ナチュラルの世界的な広がりを受けて、コロンビアでもFNC(コロンビアコーヒー生産者連合会)がその普及に乗り出しました。現地の農家さんはナチュラルをうまく精製して、高価格で販売しようと模索しました。しかし、初めての精製方法で知識も経験もなく、なかなか安定した品質のコーヒーを作れなかったそうです。

このままでは農家さんは安定した収入が得られず、売れたとしても安い価格でしか販売することができません。そんな困りごとを解決するためにメキシコから農学者マニュエルさんを招き、農家さんの生産性向上を目指す「Kaizenナチュラル」プログラムがスタートしました。

「Kaizenナチュラル」プログラムの指導内容は、大きく4点。

  1. 土壌管理
  2. 品種の特徴をしっかり把握
  3. 適切な栽培(作付、施肥、シェードツリー)
  4. 適切な精製(ツリーの熟度計測、熟度の高いツリーのピッキング、ディフェクトの除去、アフリカンベッドの温度・湿度・乾燥管理)

農家さんはセミナーや実地で徹底的に学び、定点観測を実施。その測定結果からフィードバックを受けて、一つひとつの工程を正確に修正していきました。このようにくり返しくり返し「改善」を行うことで、「高評価を得られるプロファイル」のコーヒー栽培を体験的に身につけたのです。



特別なことはせず、ただただ手間暇をかけるだけ


こうして生まれたのが「コロンビア Kaizenナチュラル」です。特別なプロセスや加工は行わず、ただただ手間暇をかけるだけ。シンプルながらも、そのフレーバーにはほど良い発酵感やフルーツ感があります。このコーヒーを初めてカッピングした時、その品質の良さから農家さんの試行錯誤が自然と頭に浮かびました。同時に、一緒に「Kaizen」に取り組みたいと思い、取り扱いを開始しました。

コーヒーの発酵や「Kaizenプログラム」をふり返ると、土壌の成分だけではなく、産地の環境すべてが味わいに影響してくることが分かりますよね。産地に広がる空気、農園を流れる水、そこで働く人々や微生物、たくさんの要素があの小さな豆にギュッとつまっている……そう思うとやっぱりコーヒーにはロマンが詰まっているなぁと感じます。ぜひみなさんも「コロンビア Kaizenナチュラル」を飲んで、コーヒーのロマンに思いを馳せてみてくださいね。



香味評価

Grape, Plum, Razin, Cacao nib


香味情報

Light Roast
焙煎が早い印象です。ハゼがないので、注意しながら焙煎してくださいね。通常の浅煎りよりも気持ち浅めにすると狙い通りになります。ブラックベリーやレッドベリーの香味がしっかりとあります。爽やかな酸味とほのかに香るナチュラル香のバランスが良い印象です。
Medium Roast
ベリー系の香味と甘みが強くなります。バランスが良い印象です。焙煎が早いので通常よりも早めに焙煎を終了させると良いと思います。
Dark Roast
深くしすぎると苦味がメインになってしまうので、いつもよりも浅めを意識しながら焙煎して見てくださいね。厚みのある甘みとほのかにナチュラルらしい香味がフワッと香ります。







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